モモの時間の国 5
ここで、ユング心理学を知るものであれば、この美しい時間をイメージ化した世界が、ユングのいうマンダラのイメージにどこかよく似ていることに気づかれるでしょう。
たとえば、ユングが『心理学と錬金術』という本を書く動機となった、ある青年が見たという宇宙時計の夢は、これと同じことを告げるイメージです。
またユング自身が見たという夢の中の暗い港町の丘の上の広場の風景も、時間の花が咲くその一瞬をとらえたものといえるでしょう。
暗い霧につつまれたその公園の中央には丸い池があり、その真中には島がありました。
そして、どういうわけか、その島のところだけ、空の一角から光がさしこんでいて、満閉の赤いマグノリアの花が咲き乱れているのを照らしていたといいます。
ユングは後で、それを絵にして、宇宙の窓と名づけました。
これこそ、彼がいう心の中心であり、全体であり、さらに意識的な部分と無意識的な部分との調和をはかるはたらきを持つという超越的な心の中の存在。
あるいは心そのものも超えた存在である《自己》のイメージ化なのです。
ユングはこのようなイメージをマンダラとよんでいます。