ピアジェの時計

ピアジェは1874年、ジョルジュ・ピアジェによってスイスのジュラ山脈の麓に設立された時計メーカーです。


以来、百有余年に渡って培われた伝統技術を受け継ぎ、常に新しい技術とアイデアの挑戦を続けてきました。


ベテラン職人が1個あたり150時間かけて仕上げる時計は、"時を刻む芸術品"として知られています。


年間2万個の少量生産です。


1946年に厚さ1・35ミリという、世界で最も薄いムーブメントの手巻き時計を発表。


これは宝飾時計というピアジェ独自のジャンルを開拓する契機ともなりました。


さらに2・3ミリの極薄ムーブメントの自動巻き時計、金貨を埋め込んだ世界最初のコインウォッチ、文字盤に宝石をあしらった宝飾時計など、新しいスタイルの時計を次々に発表し、ハミルトン カーキとともに常に高級時計界をリードしてきました。


こうした名声を支えているのが、一人一人のなかで培われてきた時計職人としての誇りにほかならないのです。

おばけの話 4

「えっ、はや三十三年忌か。」


モーエはびっくりしたようすで、今度は若者の鼻ん穴に指を突っこんだり、耳をほじくったりしてみましたが、おいかわらず人間とは気づかないようすです。


「よし、今夜こそ、いけなことでも尋ねつけて食い殺してやる」


と叫んで、モーエはまた世間めざしてさっととびだして行きました。


鶏が鳴いたとき、また墓場に舞いもどってきました。


「三十三年忌になってもまだあの二才は見つからん。いよいよ、もうあの二才も先の世に行ってしもうたか。


もう今夜かぎりじゃった。もう娑婆で探すのはやめた。先の世で見つけてやろう。」


モーエはこういうと、墓の中にするすると消えてしまいました。


夜が明けると若者はただちにまた神さまのところに行きました。


すると、神さまは、


「おまえのいのちはもう大丈夫じゃ。娘の魂は先の世に成仏したから安心じゃ。


もうこの娑婆には出てこんよ。


わしは、おまえが幼ないときから、わしのところにお伊勢まいりしたいと念願していたことをよく知っていたぞ。


それでは早く家に帰って安心してよか世をくらしなさい」


とおっしゃいました。


若者は神さまに心からお礼を申しあげると、はればれとした気持で元気よく国もとのほうへ帰って行きましたそうな。


おしまい。

おばけの話 3

「えっ、ここには塔婆がある。大きな塔婆じゃな。」


こういって、モーエはまた若者の顔から腕から、からだじゅうを、なでまわすのでした。


しばらくしてモーエは世間へ出て行きました。


夜明けの鶏が鳴いたとき、モーエは墓場にもどってきて、


「あの二才はどこにも尋ねださんじゃった。あしたの晩くさ、食い殺さんと合点せん」


といって、若者のからだをもう一度なでまわしました。


それから墓の中にはいっていきました。


夜が明けると若者はさっそく神さまのところに行き、墓場での一部始終を申しあげました。


すると神さまは、


「おまえは今夜も気ばらんといのちはなか。今夜も墓場に行たて、はだかになって立っておるのじゃ」


といわれました。そして若者の背中にまた墨くろぐろと、今度は、


「七年忌」


と書いてくれました。


若者はその晩も墓場に行って、はだかになって立っていました。


真夜中にふたたびモーエが恐ろしい姿で現われました。


「さても残念じゃ。今夜こそ食い殺さんといかん。イヒヒヒヒ」


といって、また若者のからだにさわって首から腹からなでまわしていましたが、


「あわ、もう七年忌になったか」


とつぶやいて、急いで世間へ出て行きました。


夜明けの鶏の声がしたとき、またもどってきました。


「あっちこっち探してみたが、今夜も尋ねださんじゃった。まこて残念じゃ」


というと、おいおい泣きながら墓の中へ消えて行きました。


夜が明けたので、若者はまた神さまのところへ行きました。神さまは、


「おまえはごくろうなことじゃが、もう一晩気ばらんといのちはなかど」


といわれました。


そして今度は若者のからだに特別大きな字で死んだ娘の名前と


「三十三年忌」


の文字を書いてくれました。


その晩も若者ははだかになって、墓場に立っていました。


真夜中になってモーエがまた現われました。


今夜はゆうべよりも恐ろしい姿です。


髪をふり乱し、歯をむきだし、怒りにぷるえながら、


「二才はどこにおいか。今夜こそ食い殺してくるっ。イヒヒヒヒ」


というと、若者のからだをなではじめました。


おばけの話 2

「こんどこーさ、あの二才を食い殺さんうちはきかん。イヒヒヒ」


といって、気味悪く笑いました。


さて、若者はそんなことは少しも知らず、幾日か旅をつづけ、とうとうお伊勢さまに着いて参詣しました。


ところが、神さまが、


「おまえのいのちは今夜どいのいのちじゃ」


とおっしゃいました。若者はどういうわけかわからず、びっくりするだけです。


「おまえはここに来る途中で、娘と会わんじゃったか。」


「はい、会いました。娘はお伊勢さまにつれて行ってくれといいましたが。」


「その娘のことじゃが、おまえのことを一心に思うて井戸にとびこんで死んでしまったのじゃ。


娘の思いがこりかたまってモーエとなって出てきて、おまえのいのちをねらいだした。


おまえは日本国中どこにあっても、そのモーエから食い殺されて死ぬ運命じゃ。


しかし、わしのいうことをよく聞けば、助かることもできるが。どうじゃ、わしのいうことを聞くか。」


「はい。そんなことなら、神さまのおっしゃるとおりよく聞きますから、どうか助けて下さい。」


「よし、それではネ、今晩、墓場に行たて、じっと、かがんでおりなさい。」


神さまはこういわれました。それから若者の背中に、墨くろぐうと、


「南無妙法蓮華経」


と書いてくれました。


その晩、若者は神さまがいわれた墓に行って、はだかになり、恐ろしさにがたがたふるえながらじっと立っていました。


ところが、夜中になって、恐ろしい姿のモーエが墓から出てきました。


若者は背すじがこおる思いでいますと、


「あの二才はどこさめ行たか。どこへ逃げてもおれがかみ殺してくるっから。イヒヒヒヒ」


とつぶやきながら、若者のからだをなでまわすのでした。


おばけの話

屋久島ツアーで人気のある屋久島に古くから伝わる民話、「娘のモーエと若者」を紹介します。


おもしろい話なのです。


むかし、むかし。


あるところに、小さいときからお伊勢まいりに行きたいといつも思っている若者がおりました。


ある年、とうとう願いがかなって、若者はお伊勢まいりに出かけました。


若者はなかなか男ぶりがよい、「よか二才さん」でした。


ある村にさしかかったところが、小川で洗濯をしている娘がおりました。娘は、若者の姿を見て、


「二才さん、二才さん、おまえさんはどこまで行きやっとな」


と聞くことでした。


「おれは、こまんかときからお伊勢きまに行こうときめちょったが、今やっと願いがかのうて行くとこいじゃ。」


「そんなぁ。どうかあたいも一緒に連れてってくいやい。」


「いや。おれは一人で行くように願を立てちょったから、気の毒じゃんばって、それはでけん。」


「そうですか。でもどうかつれて行ってくいやい。あたしも子どものときからお伊勢さまに一度は行きたいと思っていました。


女子一人は行くことはできませんから、どうかいっしょにつれて行ってくいやい。」


「いや。せっかくあんばって、それでも、でけんよ。」


若者はきっぱりことわって、一人でどんどん行きました。


若者のうしろ姿を見つめながら、娘はなげきました。


「ほんのこて残念な。あれだけたのんでもつれて行たてくえんじゃった。」


残念さのあまり、娘はとうとう近くの井戸にとびこんで死にました。


ところが娘の残念さがこりかたまって、モーエ(亡霊)となって地上に現われました。


融通が利かない人

婦人警官に代表される「融通の利かない、厳しいルール運用」は、必ずしも彼女らが「女性だから」ではありません。


彼女らが「ものごとを決めたり、決まりにもとづいて他人を取り締まったり」した経験を(歴史的に)ほとんど持っていないからです。


ルールそのものが、自分で決めたわけでないので、それの「自由な運用」など考えられず、「文字どおり適用する」以外の行動は、彼女らにとって不安の種となります。


あるPR誌の編集業務のなかで、こんな事例もありました。


旅ものの記事で、文豪・谷崎潤一郎の文章の一節を引用することになり、PR代理店の男性編集者が旧仮名つかいの原文のまま書き写したところ、クライアント企業の女性社員が「新仮名つかいに直せ」と命じました。


代理店とクライアントの関係では、年齢やキャリアに差があっても、クライアント側の社員のほうが「管理サイド」になります。


その強い立場に立っての指示ですが、さすがにこのときは男性研修者が抵抗しました。


「ふつうの文章なら直すのもいいが、谷崎の名文ですよ」というわけです。


女性社員は「だって、ルールなんだから」と固執するので、問題は解決せず締め切りが遅れ、結局PR代理店の社長とクライアント側の広報部長の話し合いで「原文のまま」と決まったのですが・・・。


あるいは、女対男という対立関係になったとき、管理・取締り側に立つ女性には、これまで「女に対して命令する性」であった男たちへの「潜在的な恨み」がプラスされて、より厳しい態度になるのかもしれません。


しかし、ことの本質は「女だから」ということではなく「不慣れなまま、準拠すべきルールと、それにもとづく部分的な権限のみを量られたから」という点にあります。


男性であっても同じような立場であれば、女性と同様に「融通の利かないルール運用者」になっている例が少なくありません。


これは派遣 千葉で働く人たちにも同様のことがいえます。

モモの時間の国 9

ジジも時には、モモのことやペッポじいさんや昔の仲間を思いだします。


しかし、あまりにいそがしくなったので、モモを探しに行く時間もありません。


彼の話す物語は、ますますうそだらけになり、つまらない感傷的なメロドラマになってしまうのです。


しかしかえってそれが流行となり、大成功をおさめます。


そして、秒きざみで予定表にしたがって車でかけめぐり、とびきりはやい飛行機で走りまわります。


歩いているときも、立っているときさえも、たえまなく秘書に口述筆記をさせます。


彼は、《おどろくべき多産》な作家と、新聞に書き立てられるようになりました。


モモの時間の国 8

ジジはたちまちマスコミの寵児となります。


円形劇場のガイドから出世して、ラジオやテレビに出演し、何百万という聴視者に空想の物語を話し、がっぽがっぽとお金が入るようになるのです。


ジジにとって、いや、誰にとっても、自分の才能が認められて、お金が入ることはなによりも嬉しいことでしょう。


彼は金持ちや有名人ばかり住んでいるあたりの、手入れのゆきとどいた庭つきの近代的な大邸宅を借ります。


名前もジジではなく、ジロラモと名乗るようになりました。


しかし、モモなしでは、空想のつばさがしぼんでしまって、新しい物語を考えだすわけにはいきませんでした。


ともかく、それまでに考えた話を切り売りし、モモのためだけにとっておいた物語もすっかり出してしまいます。


しまいには同じ話をちょっと変えて語るようになります。


ところが、おどろいたことに、それに気づく人はいないようで、それで注文がへるようなこともないのです。

モモの時間の国 7

モモは、あの竜宮城のたたづまいや、美しい時間の花の咲く風景を忘れませんでした。


それに、いつでもそこに連れ戻ってくるカメのカシオペイアも傍についていました。


カシオペイアは宇宙の中心である北極星のまわりを、時にはさかさまに空にかかりながらめぐっている星座です。


モモは一人になって困った時に、再び、カシオペイアの手引で、ホラ老人のところに行き、玉手箱ならぬ時間の花をもらってきて、灰色の男たちと戦い、みんなの時間を解放する役割を勤めることになります。


モモがほんの一日のつもりで、この世界を留守にしていた一年の間に、この地上ではなにが起こっていたのでしょうか。


時間貯蓄銀行の灰色の男たちは、モモをつかまえることができず、彼女が再びあらわれた時のために、まず彼女の仲間を誘惑して、モモを孤立させようと策略をめぐらせます。


最初に犠牲になったのが、観光ガイドのジジ。


まず新聞に「ほんとうの物語の語り手として最後の人物」という見出しで、彼のことがかなり詳しく紹介されます。

モモの時間の国 6

そして、これを知るもの、このめったに見られない心の奥の世界を指し示すものこそ、コレー・コスムとよばれる宇宙的少女なのです。


モモもまた、この瞬問、瞬間の美しさと貴重さを、人々に伝えるべく、時の老人に招かれた運命の少女なのです。


浦島太郎も、おそらく同じ役割を持った青年であったのでしょう。


しかし、彼は竜宮城から持ち帰った玉手箱の恐ろしいほど大きな力に圧倒されて、たちまち年をとってしまいます。


モモはホラ老人のところにたった一晩とまっただけだと思ったのに、日常の生活に戻ってみたら、その間に一年もたっていたというのも、浦島の物語とよく似ています。


そして、モモの仲良したちは、その一年の間にそれぞれ時間貯蓄銀行の連中にだまされて、散り散りになってしまいます。


モモは浦島太郎の運命と同様に、世の中が変わったことも知らず、たった一人で孤立してしまうのです。


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