おばけの話
屋久島ツアーで人気のある屋久島に古くから伝わる民話、「娘のモーエと若者」を紹介します。
おもしろい話なのです。
むかし、むかし。
あるところに、小さいときからお伊勢まいりに行きたいといつも思っている若者がおりました。
ある年、とうとう願いがかなって、若者はお伊勢まいりに出かけました。
若者はなかなか男ぶりがよい、「よか二才さん」でした。
ある村にさしかかったところが、小川で洗濯をしている娘がおりました。娘は、若者の姿を見て、
「二才さん、二才さん、おまえさんはどこまで行きやっとな」
と聞くことでした。
「おれは、こまんかときからお伊勢きまに行こうときめちょったが、今やっと願いがかのうて行くとこいじゃ。」
「そんなぁ。どうかあたいも一緒に連れてってくいやい。」
「いや。おれは一人で行くように願を立てちょったから、気の毒じゃんばって、それはでけん。」
「そうですか。でもどうかつれて行ってくいやい。あたしも子どものときからお伊勢さまに一度は行きたいと思っていました。
女子一人は行くことはできませんから、どうかいっしょにつれて行ってくいやい。」
「いや。せっかくあんばって、それでも、でけんよ。」
若者はきっぱりことわって、一人でどんどん行きました。
若者のうしろ姿を見つめながら、娘はなげきました。
「ほんのこて残念な。あれだけたのんでもつれて行たてくえんじゃった。」
残念さのあまり、娘はとうとう近くの井戸にとびこんで死にました。
ところが娘の残念さがこりかたまって、モーエ(亡霊)となって地上に現われました。